【購入・感想】『その無限の先へ 3』(二ツ樹五輪)

こんにちは。くらせです。

この間紹介した『その無限の先へ』1・2巻が面白かったんで買ってしまった3巻のレビューです。このブログのKindle Unlimitedで読み放題の本を紹介するという趣旨からは外れるのですが、せっかく自分のブログを持ってるわけですし、もっと評価されてほしいと思いましたので、ここに感想などを残しておこうと思いました。そのため、タイトルに【購入】タグをつけておきましたが、あまりに直接的なんでこれも別の表記方法が浮かんだら変えようかと思います。

それと今回あまり厳密にネタバレを気にせず書こうと思います。いつもは本の紹介も兼ねてるので、ネタバレを避けるせいで文章量もどんどん少なくなってしまうのですが、たまには伸び伸びと好き放題に書いていこうと思います。もう3巻まで読んだ読者さんを想定して書いていきます。

今巻も、前巻までに引き続き(主に笑いの要素で)安定して面白かったです。1巻の展開が”静”、2巻が”動”とするなら、3巻は”静”の回と言えるでしょう。今回は本格的な戦闘には入らず、2巻でツナ達が成し遂げた偉業の意味を振り返りつつ、今後の展開に向けたゲームシステムの確認と新たなスキルの習得や準備ですね。それを日常回を挟みつつ新たな仲間も加わり、次巻はもうストーリーが動き出すしかないという感じで終わってます。

前巻で猫耳のチッタさんが、ツナに惨殺されてツナ達はトライアル最速突破を実現しました。あの時の戦闘の入り方はめちゃくちゃ良かったですね。まあその後のチッタさんのやられ方は、読んでてもドン引きする内容だったのですが、やってるツナ本人がドン引きしてるのと、その時の戦闘はさすがに有料動画になってたりと、向こうの冒険者たちとこっちの読者との感覚が一致してるのは非常にいいです。

そんなことがあったんで、トライアル中はあんなに楽しく絡めていたチッタさんとはその後しばらく再会しずらい雰囲気になってしまったんですね。私的にチッタさんはかなり好きなキャラでした。猫耳で語尾に「ニャ」をつけることを上から義務化されてて、それなりに戦闘力の高いいじられキャラ。同じくツナもいじられキャラですが、二人いてもキャラが被らないのはいじられる分野がしっかり分かれているからですね。もうこれは非常に戦力になるはずです。

そういうわけで私はその後の微妙な距離感を自分のことのようにリアルに感じていました。あんなことがあった後でもツナが時々チッタさんの事を思い出していて、少し心配気味に捉えているそれだけで嬉しかったです。そして今回なんと、チッタさんと再会する機会にこぎつけました。一応あの時の禍根は解消できたかなという感じで冗談を言えるくらいには仲直りできたようです。ただ完全には関係が復活したわけでは無いっぽいですね。この辺の人間関係がすごくリアルで好きなんですけど。チッタさんの過去の事についてもまだ伏線回収が終わってないんで、今後また出てくるであろうことを期待するとします。あの過去に暗い部分を抱えつつも、自分の中にあるユーモアの感性を大事にして、キャラとしては面白く愉快に振舞おうとしてる人間らしさが好きですね。ケモミミなのに人間より人間臭いというその人格に惹かれます。いやチッタさんの話でどんだけ語るんだよ。今巻はチッタさん中心の回ではないのです。

この小説の世界では現代日本の文化や技術がかなり浸透してるみたいなんで、5chみたいなスレッドもあるわけです。それまで通常の縦書きスタイルだったのが、急に5chのスレの表示形式をそのまま使ったようなスタイルに変わったのは、向こうの世界に意識が引き込まれる感じがして、すごく楽しめました。考えてみると、今の日本ではどんな出来事についても実況スレが立っている気がします。まさに ”なんJの時代” です。実況スレの存在を見せた方がある意味リアリティを感じるのかもしれません。これは結構新鮮な読書体験でしたよ。その後のツナが風俗に行く話でもですね。なんちゅう話や。ツナ視点の話が急に終わって、急にどっかのグループチャットに切り替わるんですが、それもツナの話に繋がってくるという構成もよかったです。こういう飽きさせない工夫がされているのは素晴らしいです。それを軽い感じでやってるから読んでるときはただゲラってるだけでいいのが楽です。

そしてそして、ついに明かされるダンジョンマスターの目的。これはさすがにネタバレしないでおきますけど、なるほどという内容でした。この作品全般に言えることですが、まず人前で振舞う時の強気のキャラがあって、話が進んでいくとその人の過去の経験からくる弱い部分が見えてきて、それが明らかになることでそのキャラクターの人格が頭の中でストーンと完成するという爽快感が得られるのが癖になります。これをギャグ回に抑揚を持たせるために挿入されるシリアス回とかじゃなくてですね、ゲームシステムが抱える闇として出てくるんで若干ホラーなんですよ。この高低差は心を揺さぶられます。

この巻の後半の方で、ついに一緒に戦う新メンバーが追加されます。まあ今までの番外編で出てきたキャラの誰かか、出てきたけどそろそろ忘れてる誰かかなと思っていたら、全く知らないやつでした。これによって戦力の大幅アップが見込めるわけですが、このドMの追加によって、ユキトさんの狼狽っぷりが楽しめるのが一番の収穫かもしれません。ていうか今回は男の巻と言ってもいいくらい登場人物男ばっかだったような。異世界転生ものでこの比率は革命的じゃないのか。それでもむさ苦しさを感じないのはユキトさんのおかげかもしれません。正直ユキもかなり好きなキャラなんですよね。語り始めると何かに目覚めそうなので今回はやめておきます。

さて、このドM男サージェスさんですが、ドMに目覚めるまでの前世での人生模様まで語ってくれます。今回仲間に加わろうと思ったのはツナ達のトライアル動画を見て、ツナがボロボロになりながら戦ってる様を見てドM仲間だと思ったからだといいます。たしかにそれならこのレベルでどこにも所属できずに、今回ツナ達の仲間に加わろうとした動機も納得できますので、このキャラの登場に笑うより感心してしまいました。

こういう問題のあるメンバーでも、なんとかその人の強みを活かして最大限のチームワークを構築していくっていう展開は、絶対燃えるんですよ。『スラムダンク』なんかはそれをストーリーの中心に持って行ってる感もあります。だからこの全然交わらない関係からすでに楽しいですね。この後アーシェリアさんと戦うわけですが、全然勝てる気がしません。ここからどう勝ち筋をひねり出していくのか、非常に楽しみです。

ここまでの難点も申し上げますと、番外編が少し長くないか? という点です。1巻のリリカは登場しましたが、2巻の怪力お嬢様はまだ出てきません。いや番外編でしっかり描かれているからこそここまで期間が空いてもそれなりにキャラが印象に残っている部分もあるのですが、書籍を紙の本で買った人は結構なページ数が番外編に割かれてて、本編が進まないとガッカリするんじゃないかと思ったんです。まあ作品への評価が変わるほどのことではないですが。

以上がおおまかな感想です。私の勝手な期待や妄想による脚色はお許しください。若干ネタバレを気にしてしまった感はありますが、正直ここまで書いても、実際に読んで得られる楽しさは別なので、書評ブロガー的にも大変ありがたい作品ですね。小説家になろう作品に可能性を感じる作品でした。

【購入・感想】『その無限の先へ 3』(二ツ樹五輪)” に対して1件のコメントがあります。

  1. Alton I より:

    Very interesting information!Perfect just what I was searching for!Raise blog range

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