【紹介・感想】『エスケヱプ・スピヰド』(九岡 望)/荒廃した日本で動き続ける機械兵器と廃墟の街

あらすじ

昭和初期の日本がずっと続いているかのような世界、それは八洲(やしま)。主人公の少女、叶葉(かなは)は八洲南部の防衛都市《尽天》の大型地下壕で多くの避難民と共に冷凍睡眠していた。20年後、既に目覚めていた叶葉と生き残りのグループは生きていくための物資を求め、廃墟となった地上の街を探索する。外部との連絡を取るため、西の基地にある通信設備にいく。そこで待ち受けていたものとは……?

どんな内容?

第18回電撃小説大賞で大賞を受賞。このライトノベルは「スチームパンク」に分類されると思います。スチームパンクの定義は難しいですが、SFとするには科学的考証より機械文明や機械による戦闘描写に力を入れている作品なので、スチームパンクと言っていいでしょう。萌えとか恋愛描写はかなり控えており、世界観とか文章力に全力を注いでいるような小説であり、そういった部分が電撃小説大賞受賞につながったのかもしれません。ライトノベルの中で近いものを探すと『鋼殻のレギオス』が挙げられます。

アニメ化に向いている

小説の中で出てくる「鬼虫(きちゅう)」という機械兵器があるのですが、これに関する挿絵が少なく、自分で想像しなくちゃいけないのがもどかしいです。読んでいても設定としてすごくかっこいいと思いますし、やっぱりアニメで見たいなという気持ちが強まります。それ以外でも、人物のキャラクターがこの小説の世界観に反して、セリフとかもすごくアニメチックなので、ちゃんとライトノベルの枠に収まっているのが素晴らしい。アニメ化したら、子供も大人も楽しめるようなかっこいい作品になりそうです。

評価が分かれる

Amazonのレビューを見てても、結構評価が分かれている印象です。低評価の人の意見としては、ストーリーの盛り上がりに欠けたり、あるいはオリジナリティが足りないなどがありました。言われてみると、確かにと頷ける部分もあります。一方で設定の面白さと文章力に関しては全体的に認められている印象でした。高評価の意見としては、古き良きラノベの再来として喜んだり、迫力の戦闘シーンやとにかく萌えに媚びない硬めの文章を褒めるものなどがありました。

まとめ

『エスケヱプ・スピード』は、スチームパンクが好きで、荒廃した世界で機械同士が白熱したバトルを繰り広げるような展開を求めている読者におすすめです。全8巻が刊行されていますが、2023年2月現在、Kindle Unlimitedではなんと全巻がKindle Unlimited対象となっているため、加入していれば最後まで読むことができます。

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