【書評】『ヒトはなぜ先延ばししてしまうのか』(ピアーズ・スティール)/先延ばし癖あるの人必読の書

本書の概要

人はなぜ本当にやらなければならない事を先延ばしにしてしまうのか。先延ばしとモチベーション研究の第一人者、カナダ・カルガリー大学ビジネススクール教授のピアーズ・スティールさんが解き明かします。

まず本書の序盤~中盤では、先延ばし癖は古来より人類の多くが悩んできた性格でもあるし、実際そういった性格でも成功してきた多くの作家がいるため、先延ばし癖のある人が決して一人ではないことを教えてくれます。その上で、先延ばしによる実際の損害などを理解することで、自分の先延ばしの性格と、どのように折り合いをつけていくかを考えていきます。最後にストーリー形式で、実践編として本書で得た内容をどのように活かしていくのか、自己啓発本っぽく書かれています。

本書は2012年6月発売の本です。

実際読んでみた正直な感想

私がこの本を読んだ理由は、他ならぬ私自身が先延ばし癖によってあらゆる人生の不利益を被ってきたからです。そんな先延ばし癖のある人間として、この本を読んだ事による効能があったのかというと、少なからずありました。

まず自分のようなダメ人間は世界中に存在しており、こういった先延ばしを題材にした本が売れてしまうくらい悩んでいる人が多いという事を理解することで、精神的な負担の軽減につながりました。余計な自己否定の感情をなくすことで、自分個人が取り組むべき課題に意識を向けやすくなったと思います。

それから、やるべきことを先延ばしにすることによってどうのような不利益が発生するのか、自分一人では思いつかないような損害をこの本で改めて認識することで、今すぐ課題に取り組むためのモチベーションを生み出すことに貢献したと感じます。例えば、やめなければいけないとわかっている不健康な食事。それによる不利益は、スタイルが悪くなるとか、日常の集中力が下がるくらいしか意識しませんでしたが、死亡率の増加などを意識する事でより自分事として捉えて、改善する行動力に活かせそうです。

これ以外にも目の前の学業をおろそかにすることで生まれる将来的な経済的損失なども本書で再認識させられます。つまりこの本は、決して先延ばしする癖をしょうがないものとして許すような本ではなく、それによってどれだけ人類が被害を受けてきたかを読者に認識させることで目を覚まさせるような本だと思います。

私個人としては、最後の自己啓発本っぽい内容より序盤中盤の、物事を先延ばしするということはどういうことなのかを、色んな有名人の事例を元に書いているところが一番ためになったかなと感じます。先延ばしの癖を改善する具体的な方法については、結局他の自己啓発本で書かれている悪い習慣を改善する方法と被る部分もあるので、それよりは先延ばしの専門書として本書を読むのであれば、先延ばし癖に特化した部分が一番楽しめるし役に立ったと言えるのです。

まとめ

大事なことを先延ばしにしてしまう人は、まずこの本を読んで自分がどういう状況なのか理解しましょう。大事なのはいきなり克服することではなく、少しずつ前進すること。大丈夫です、この本に書かれている多くの先延ばしにしてきた有名人が味方になってくれます。なにより本書の作者が先延ばしのスペシャリストなのですから。先延ばしをしているのは、環境問題などの地球規模の問題にしっかり取り組んでいない人類全体の問題でもあります。私もこの本を読んで先延ばしにしてきた問題に少しずつ取り掛かろうと思います。

本書のAmazonリンクはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です