【感想】『領怪神犯』日本各地に存在する異形の神と異常な信仰との闘い(木古おうみ)

こんにちは、蔵瀬です。

今回は、Kindleの「お客様が興味ありそうなタイトル」でおすすめされてきた本、『領怪神犯』を読んだ感想を書いていきたいと思います。この本は2022年の12月に発売されたので比較的最近の本になります。ジャンルはホラー小説ですね。中々独自の世界観を持つ小説でして、あらすじの説明が難しいのでAmazonにあるやつをそのまま載せさせていただきます。

あらすじ(Amazonより引用)

これは、人智を超えた危険な現象――領怪神犯に立ち向かう役人たちの記録。

この世には善とも悪とも呼べない、理解不能な神がいる。
毎年身体の一部が村に降ってくる神、不老不死の夢を見せる神、あらゆる事象の辻褄合わせをさせる神、一切の記録がなくただ信仰だけが残る神――。
理解もできず根本的な対処もできない、だが確かに日本各地で起こり、人々の平穏を脅かす現象は「領怪神犯」と呼ばれている。
公的機関として密かに存在する「領怪神犯特別調査課」に所属する片岸は、部下である女性調査員の宮木と、各地から報告される「領怪神犯」の調査と対処に当たっている。
奇怪で危険な様々な神による超常現象、時にはそれらの神を崇める危険な人間たちとも対峙しながら、片岸は調査を進めていく中で失踪した妻の痕跡を見つけ出そうとする。
だがそれは、「領怪神犯」のある恐ろしい真実に触れることにもつながっていき――?

読んでみた印象

あらすじにあるように、「領怪神犯特別調査課」という架空の公的機関に所属する主人公、「片岸」が相棒の「宮木」と行動を共にし、日本各地で起こる神様に関連すると思われる異常現象の依頼を解決すべく動いていくストーリー。日本人にとって神様というのは、神にお供えをしたり祈りをささげる我々下界の人間に対して、ご利益を与えるようなありがたい存在としてのイメージが強いのではないでしょうか。そのイメージを逆手にとって、神様を恐怖の対象として描いたのがこの本の特徴であり、面白い設定として成功した部分だと思います。要するに、いくら神聖で超人的な力を持った存在だからと言って、人々に都合のいいように誤った信仰の仕方をすれば、その信仰の対象となる神様の方でも歪みが生じ、それが人々にとってとんでもない災いとして帰ってくるぞというお話です。

ストーリーは主人公一行が各地で出現した「領怪神犯」を調査していき、一話完結で進んでいきます。日本のどこかにありそうな土着信仰の残る村落で、化け物のような神の姿やその能力に恐怖を感じます。しかし作中で書かれているように、一番怖いのは人間かもしれません。「村」という閉鎖的な社会の中で、道徳観を失ってしまった、あるいはそれが得られないまま村社会が続いてしまったような場所で、主人公たちは悪魔の所業を目の当たりにしていきます。

話全体を通して、主人公の妻を消した神を探すという事が目指すべき目標として設定されているのですが、それが本の後半辺りから主人公の過去も含めて明らかになっていき、物語が面白くなっていく展開だと思います。その結末も想像していたのとは全然違っていて、理不尽ではないけど報われたとも思えないような、少し悲しい結末でした。というかどの章の結末も、めでたしめでたしではなく、解決を目的としていないようなじわっと恐怖が残る終わり方で、毎回予想がつかないのも良かったです。

文章に関しては若干読みにくい所がありました。この本を原作としたマンガも出ているみたいなので、そっちを読むのもアリかなと思います。

まとめ

『領怪神犯』は日本人が信仰する神様を、恐怖の対象として描いた中々珍しい世界観のホラー小説です。主人公とバディの会話の掛け合いは若干コメディタッチで、ドラマを観ているような感じで楽しめるのではないでしょうか。日本の田舎にあるかもしれない狭いコミュニティが生み出した不気味な風習。そこから生み出される間違った神による厄災。それらの真相に迫っていくようなストーリーにゾクゾクしながら読み進めてしまうはずです。

それでは別の記事でお会いしましょう。

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