【感想】『ゴーストフォビア』/自称サイキック探偵の姉が面白すぎるドラマ風ホラー小説(美輪和音)

先端恐怖症……集合体恐怖症……世の中には様々な恐怖症が存在します。あなたは何フォビア(恐怖症)ですか?

こんにちは。

今日は『着信アリ』の原作などを書かれた女性ホラー作家、美輪和音さんの2016年の小説『ゴーストフォビア』を読んだのでその紹介です。美輪和音さんの小説は初めて読んだのですが、男の私でも楽しめるような面白いストーリーでした。ネタバレ無しの感想を書いていく前にあらすじを載せておきます。

公式のあらすじ文

いつもの憂鬱な朝、急に「サイキック探偵になる」と言い出した姉・芙二子に振り回される三紅。行方不明の女性の調査をすることになった二人は、事故物件を扱う不動産屋の神凪怜と出会う。三紅の心酔する霊能者に似たクールな印象の男性だが、どこか胡散臭い。しかし、偶然に三紅が神凪に触れた瞬間、聴力を失ったはずの右耳から、不思議な声が聞こえてくる。その一方、神凪も見えないはずのモノが見えているらしい――。

どんな小説か

『ゴーストフォビア』はホラー小説という事になると思いますが、小説の雰囲気としては明るいです。というのも、主人公の三紅(みく)の姉である芙二子(ふじこ)が、一人だけコメディの世界から来たような愉快なキャラ設定になっているので、本来怖すぎる幽霊の話でも気軽に読み進められる雰囲気があります。そういう意味ではドラマの『TRICK』のようなイメージに近いです。『TRICK』は超能力を謳ったインチキ占い師などの嘘を暴いていくコメディタッチだけど不気味な世界観のあるドラマでした。そういう作品が好きな人にはおススメしたいと思います。

ゴーストフォビアとは?

タイトルのゴーストフォビアとは、作中の説明によると、幽霊恐怖症だそうです。他にも閉所恐怖症のクラウストロフォビア、先端恐怖症のベロネフォビアなど数々の~フォビアが存在するそうで、恐怖症そのものを恐れる恐怖症恐怖症なんてものあります。この小説では出てきませんが貴志祐介の『天使の囀り』で、死を恐れる「タナトフォビア」なんてものもありました。そんなわけでこの小説は、「恐怖症」というものをテーマに扱うホラー小説ということになります。ただ私が読み終えた印象では、その中で「ゴーストフォビア」という幽霊恐怖症が特別重要な意味を持ってはいないと思います。つまりこのタイトルはゴースト×フォビア、つまり幽霊×恐怖症を意味しており、恐怖症をテーマとしたホラー小説くらいの意味合いでとらえた方がよさそうです。

読んでみた感想

私は普段あまり女性作家の小説を読んだ事がないのですが、この小説は男の私でもとても楽しめる内容でした。あとがきを読んでみて作者の美輪和音さんが面白い人だと感じましたし、シンプルに作者と波長が合ったのかもしれません。私が感じたのは、男性作家より女性の登場人物の割合が多いことですね。その女性の登場人物のどれもがパーソナリティがしっかりしていて、面白いドラマを観ている感覚で読み進めてしまいました。

上には『TRICK』に似てると書きましたが、ジャンルとしては小野不由美さんの『ゴーストハント』とかと同じになります。ただ『ゴーストフォビア』の方がギャグ調が強く、パートナーとなる男が頼りになるんだかダメなんだかわからない面白い人物で楽しめました。一話完結型で全4話が収録される形となっていますが、それぞれの話が独立していてどのエピソードもホラー小説として別々の楽しみ方が出来ましたし、話を追う毎に主要メンバーの人間模様も変化してきて面白かったです。最後の話がこれまでのエピソードの結論を示すようなまとめ方になっていて良かったんじゃないでしょうか。

まとめ

『ゴーストフォビア』は、幽霊と恐怖症をテーマにした、ちょっと笑えるけどしっかり怖いというホラー小説です。面白いドラマを観ているような感覚で読めますし、ちょっとライトノベルっぽい雰囲気もあります。作中で色々な恐怖症(~フォビア)が出てくるので、そういう豆知識に興味のある方、是非読んでみてください。

本書のAmazonリンクはこちら

【感想】『ゴーストフォビア』/自称サイキック探偵の姉が面白すぎるドラマ風ホラー小説(美輪和音)” に対して1件のコメントがあります。

  1. QuincyT より:

    Very interesting info!Perfect just what I was looking for!Blog monry

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です