【感想】『イデアル・レコード〈1〉』(夕凪皐)

最近、当ブログで過去に取り上げた『超克ノ刻』の記事のアクセスが増えています。ブログ開設してからわりとすぐの記事だったので、もう2年くらい前になりますね。

なぜか気になったので、調べてみると本の作者さんの、小説家になろうのページがもう無くなっているんですね。たぶんそれで昔夕凪皐さんの投稿を読んでた人が検索して、私のブログの方に間違えて来ちゃっている可能性もあります。

夕凪皐さんはもうKindleの方にWebでの活動を移してるみたいなので、それをお知らせした方がいい気がしたので、今回別作品を紹介するという形で記事にしました。

実は『イデアル・レコード』の前に同作者の『ホーリーワード』も読んだのですが、これはラブコメありの『マトリックス』みたいな世界観の小説でした。ただ話がたった2日で終わり、流れるようにストーリーが進むので、世界観やキャラのイメージがあまり出来上がらないまま終わってしまった感がありました。

私はこれまでも読破したけど、上手く記事に出来なくてお蔵入りした小説は結構あるんです。どうしたもんかと思って一応別作品にも目を通そうと『イデアル・レコード』を読んだら普通に面白かったのでこっちを紹介する事にしました。

舞台は日本で、主人公は浅海俊希という学生。深層心理の最奥にある世界、「死生の蔵」にある記録を放つ事で特殊能力を発動させる事ができる律我士として、世界の界律を維持するために戦っている。そんな彼にある日1人の少女が話がかけてくる。それは彼の能力の特性上有り得ないことだった……。

というあらすじ。まず序盤で、この小説ならではの舞台設定や固有名詞に、そういうものかと思えるかが評価の分かれどころになりそうです。私はまあそういうものかと思いました。

それより小説で大事なのは、文章の読みやすさや、人物の描き方です。この点に関して、『ホーリーワード』が2021年8月、『イデアル・レコード』が2021年11月に投稿されているのですが、この3ヶ月にいったい作者に何があったんだと思うくらい文章のレベルが上がったように感じました。

登場人物達がしっかりパーソナリティを持って生きているという事が文章から伝わって来ます。話し方に特徴を持たせているからカギ括弧が続いても誰が話しているかわかるし、それぞれの考え方や立場の違いから対立するシーンもあって人物像に迫力を感じました。だからこそ何気ない朝の食事のシーンが笑えるし、人物同士のやり取りが結構面白かったです。

あとストーリーも最終的にミステリーめいて来ましたよね。気になる感じで終わっちゃいました。タイトルに〈1〉とついてるから、続編を前提に作られたと思いますし、あとがきで全部で3部作の予定と書いてあります。読み終わった印象としては、この巻はこれから起こる出来事の始まりの物語という事でしょうか。続きがあれば是非読んでみたいです。

【感想】『イデアル・レコード〈1〉』(夕凪皐)” に対して2件のコメントがあります。

  1. SusannahC より:

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  2. Niketrick より:

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