【感想】『その無限の先へ1』/一度は打ち切りになった名作がクラファンで見事に復活!(二ツ樹五輪)

2年前の記事に書いた『その無限の先へ』が出版元を新しくして再始動する事をつい先日、前記事のコメント欄で教えていただいて、初めて知ってびっくりしました。既刊のほうでは6巻で打ち切りとなっていたので、再始動という事はそれ以降の話も書籍化されるという事ではないかと期待したら、どうやらそういう流れみたいでめちゃくちゃ嬉しいです!

『その無限の先へ』とはどういう作品か?

元々は小説家になろうで投稿されていた、ニツ樹五輪さんによる異世界転生モノの小説です。角川MF文庫からライトノベルも刊行されていましたが、残念ながら6巻で終了。特徴としては、異世界転生モノでありながら中世ヨーロッパ的な世界観が中心ではなく、我々日本人が持つ一般常識が普通に通じる世界が舞台という所でしょうか。どういうことかというと、主人公のツナは荒廃した中世のような世界から、まともな暮らしを求めて迷宮都市と呼ばれる場所に向かうのですが、この迷宮都市という場所が元々日本人だった人間が発展させてきたような街でして、コンビニとかが普通にあったりする、言わば異世界の中の異世界のような場所です。

迷宮都市は無限回廊と呼ばれるダンジョンの攻略を目的として発展してきた街で、そこには全国から冒険者が集まり、ダンジョン攻略に向けて切磋琢磨したり、適当に稼いで暮らしたりと、それぞれの事情で動いています。その世界の人にはそれぞれゲーム的な能力スキルがあり、生まれつき備わっているギフテッドや、特定の行動によって後発的に習得できるスキルなどもあり、結構ゲーム的な要素の強い作品です。開発者の姿が見えない中で、プレイヤーが試行錯誤しながらルールを把握していって、限られた知識と持てる道具で勝利を目指していくという点で、ハンターハンターのグリードアイランド編みたいな面白さもあるのではないかと私は思います。

改めて読んでみた感想(ネタバレあり)

ある程度事前知識があるためか、再刊行する過程で文章が整理されたのかは分かりませんが前よりスラスラ読めた印象です。明らかに不可能と思えるシチュエーションを手段を尽くして突破していく事が醍醐味のストーリーである以上、結末を知ってしまっている今より一番最初に読んだ時の方が楽しめたのは事実ですが、それでもチッタ戦が始まる前のどうしようも無い空気感は、何度読んでも本当に秀逸です。

チッタさんの後日談で出てきたねらーの会話も面白かったし、獣耳大行進の解像度も上がって満足でした。ユキのイラストは旧版と比べるとアニメチックになって可愛くなっていますが、一応この段階では男子という事なので私は旧版のデザインの方がまだ好きかな。それもまだ慣れていないだけかもしれませんが。

おわりに

私は旧版を6巻まで購入して読んでいるのですが、なろう小説サイトが読みにくいということもあってその先をまだ読めていないんですよね。今後その先のストーリーも書籍化されるのであれば楽しみで仕方がないですし、『その無限の先へ』の再始動をこの小説内のネット住人達のように多くの人達で盛り上がれたらいいなと思います。旧版では1巻2巻で分かれていた内容を、今回1つの巻にまとめて発売という事で、旧版では分けない方がいいと言われていたストーリーが、1つの巻で完結していて非常に充実した内容となっています。本日8月5日に第2巻のプロジェクトが指導という事で、この作品の1ファンとして陰ながら応援させていただきます。

本書のAmazonリンクはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です