『経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました』(わんた)

今回もおそらく個人出版のなろう作品を紹介したいと思います。表紙の制服女子の絵柄から、女の子メインで、ダンジョンはおまけなのかな?と勘ぐってしまいましたが、全然そんなことはなかったです。萌え系でもなかったですね。物語の分類としてはリアルダンジョン系っていうんでしょうか。まずはあらすじの説明を。

あるとき世界中にダンジョンが出現し、日本では東京の地下に入り口が発生する。そこではモンスターが出現し、人々を襲ったが、次第に収束し、日常の一部になった。そこにわざわざ侵入し、戦利品を取ってくる探索者と呼ばれる新たな職業も生まれた。今作の主人公、正人(まさと)もその一人である。彼は両親を亡くしており、二人の弟のための収入をえるため、日夜ダンジョンに挑み続けているが中々収入は安定しない。もっと高レベルのモンスターを狩るために一緒に戦う仲間の必要性を意識しだした。彼は筋金入りのぼっちだったのだ。ある時彼の一番下の弟、烈火(れっか)の紹介で一人の女子プレイヤーを紹介される。彼女もとある事情で共闘者を求めていた。それぞれの事情でタッグを組み始めた二人だったが、戦いを通して徐々に絆を深めていく…。

異世界に飛ばされるとか、ゲームの世界に閉じ込められるという設定のものはいくつか見たことがありますが、こういう現実の世界にダンジョンへの入り口が出現して、現実とダンジョンの設定がミックスするものは見たことがない気がします。『GATE』みたいに異世界との行き来ができるようになる作品はありますが、ダンジョンだけだとモンスターばっかでハプニングになりますからね。それがひと段落して、今やダンジョン探索が一つの産業化しているというのがこの作品の特徴でしょう。

あとこの物語の主人公が、道楽でモンスターを狩っているのではなく、収入を得るというリアルな生活のために戦ってるのが共感できます。ヒロインにしても同様で、彼らの会話からは精神的な自立を感じるんです。年齢よりも大人の落ち着きが備わっています。おそらく作者さんが冷静な方なのだと推測します。

戦闘中の描写から、モンスターの恐ろしさも伝わってきました。手に汗握るバトルを読書を通して疑似体験できましたね。そこでレベルが上がっていく過程も、すごくゲームしてる感があって面白かったです。この本では、一応話はひと段落して、終わっていますが、最近出たばかりの本なので、続編はあるかもしれません。最近誤字の修正版がアップデートされたようなので、こういう気づかいがあると応援したくなりますね。

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