【感想】『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』(人間六度)

このブログでも以前紹介しました、『BAMBOO GIRL』の作者である人間六度さんの最新作『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』を読みましたので紹介したいと思います。今回も面白かったですね。2作読んだだけでも、人間六度さんにしか描けない日本史の出来事と絡めた人間ドラマというような独自のジャンルを確立したんじゃないかと感じます。面白いのに世間ではあまり注目されていない小説を紹介したい私にとっては、人間六度さんは是非とも推したい作家さんでもあります。

あらすじ(Amazonより引用)

500年を超える悠久の時を生きてきた不死身の床無くん。
平成の終わり頃、髪結いを生業とする彼と出会い、一瞬で恋に落ちた真昼は、奇妙な「十の掟」を交わす。それは二人がうまく付き合っていくための大事な約束だという。第一の掟「掟ヲ守ル事」、第二の掟「姓デ呼バヌ事」……。
煌めくような日々の経過と共に明かされる掟に秘められた真意と、床無くんが古から見送ってきた幾つもの人生。しかし、第九の掟がもたらしたのは残酷な運命だった――。
これは、永遠に残る愛の形。

どういう話か?

簡単に言うと、女子大生の主人公が不死身の美容師の男性と出会い、付き合う事になる話です。不死身と言っても、死なないから最強の彼氏!という単純な話ではなく、およそ500年もの長い歳月を生きてしまっているため、RPGで言うエルフと人間のような別種族との恋愛をするくらいの難しさを孕んでいるわけです。そういった問題をどう乗り越えていくかを、女性主人公視点で描いていくという人間心理に焦点を当てたまさに作者の得意とする小説ですね。不死身の彼氏は戦国時代から生きているため、今回も日本史で出てくる出来事と絡めた内容は健在です。

読んでみた感想

まずは人間六度さんの別作品がKindle Unlimited対象になっていたために読めてよかった。『BAMBOO GIRL』を面白さで超えたかというと、『BAMBOO GIRL』がそもそもスケールがでかすぎるということもあってそれはないなと思います。ただ自身の作風を崩さず新しいことに挑戦していることは伝わりました。作者は元々難病と闘っていた経歴があるためか人間の身体的弱さを描くのが上手いと思います。今回は男主人公の『BAMBOO GIRL』と違って女性が主人公ですが、「あれ、人間六度さんって女性だったっけ?」と思うほど男性作家の中では女性視点を描くのが上手いと思います。それは身体的な弱さを経験しているからなのではと私は推測します。この辺はむしろ女性読者の方から感想を聞いてみたいですね。

『BAMBOO GIRL』の方では、若者にとっての恋愛が与える心理的負担についてテーマとして書かれていると記事の方で書いたと思いますが、『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』でのテーマは何でしょうか。今回は大人の事情で子供を産むことの問題点でしょうか。作中で主人公の真昼は、子供を二人以上産まないといけない状況に立たされます。子供を一人だけ生んでしまうと、その子に永遠の命が宿ってしまうため、0か2の2択を迫られるわけです。500年生きている霧人は過去にそれで失敗して、永遠の命が宿った子供から恨まれるという辛い経験を持っていて、それを真昼も知っているため非常に苦しい場面でした。ちょうど最近初めて姪が出来て、この子にとって楽しい人生になるといいなと勝手に考えていた私としては、一番共感できるテーマでした。

まとめ

なんとなく『BAMBOO GIRL』との比較が多い記事になってしまいましたが、初見で読む方より人間六度ファンとして読む方が9割だと思うので、その方がわかりやすいと思いました。ちょっとクロスオーバー要素もあって、これはもしや……?と思う部分もあって楽しめました。『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』でも人間心理の丁寧な描写と、日本史と絡めた時空を超えたスケールは健在ですので読んで損はないと思います。

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【感想】『永遠のあなたと、死ぬ私の10の掟』(人間六度)” に対して1件のコメントがあります。

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