【感想】『そして、ユリコはひとりになった』学校を支配するユリコ様伝説を、主人公の友人が叩き潰す!(貴戸湊太)

第18回『このミステリーがすごい! 』大賞で、U-NEXT・カンテレ賞を受賞したというこちらの小説。

U-NEXT・カンテレ賞とは、ドラマ化を前提とした賞であり、この小説の内容としてもドラマ化した際に映えそうなシーンが多くあります。

実際2020年に既にドラマ化されており、U-NEXTで今でも視聴する事が可能です。

さて、作者が当時30歳の頃に執筆したこの小説はどんな内容だったのでしょうか。

あらすじ

小説の舞台は、元々女子高だったのが共学化して間もない高校になります。

そこではまだ男子は少なく、女子の人数が大勢を占めます。

そんな学校で囁かれるある噂。「ユリコ様伝説」。

それは、学校内で最後に残ったゆりこだけが学校を支配できるという伝説です。

毎年「ゆりこ」という名を持つ生徒が入学してくるが、なぜか交通事故や問題を起こすなどして学校を辞めていきます。

そして主人公もまさに、「百合子」という名前を持って入学してきたのでした。

果たして、この伝説は本当なのか……?

百合子は次々と消えていく「ゆりこ」達の中で、真実を求めて戦います。

読んでみた感想(重要なネタバレ無し)

最初にこの設定を見た時に、真面目なのかふざけているのか判断に困りました。

「ゆりこ」という既に少々古風になっている名前で、生き残りをかけたゲームが学校内で行われるというのは、ホラーやミステリーとしては面白すぎます。

しかし、最後まで淡泊な文章で、あくまで真面目なホラーミステリーとして書き上げていた部分は逆に好感を覚えます。

全体的な感想として、面白かったです。

賞を取っただけの事はあって、グッと来るシーンもいくつかありました。

個人的には友人の「美月」の描き方が面白かったです。

最初はクラスでのいじめや「ユリコ様伝説」に悩まされる主人公の相談役ポジだったはずの美月が、だんだんとユリコ様についての推理に前のめりになっていき、行動力も爆発してきて、終いには犯人にもバンバンぶつかっていくし、探偵さながらに自分の推理を理路整然と語っていきます。

正直ユリコ様伝説の恐怖を、美月の万能性が超えてしまっているので、ある種『水戸黄門』のような(笑)、悪事を懲らしめる活劇としての娯楽性があります。

タイトルを『名探偵美月』に変えても違和感はないでしょう。

そういったツッコミ所を有しておる作品ですが、最後の最後の章でそのツッコミ所すらも伏線だった事がわかり、「やられた」と思ってしまいました。

最終章を読むか読まないかで、作品の印象が全然変わってしまう点も面白ポイントです。

文章は平易な中学生でもスラスラ読めそうな読みやすさがあるので、最後までサラッと読めてしまうという声も多いです。

幅広い年齢層で楽しめるミステリー小説だと思いました。

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