【感想】『IT社長が勇者に転生した件について』これは普通の異世界転生小説じゃない!/(高山 環)
高山環さんの『IT社長が勇者に転生した件について』を読みました。同作者の小説を紹介するのは『コクーンマンションへようこそ』の記事以来となります。
読み終えた直後に今この文章を書いておりまして、興奮冷めやらぬ状態なんですけど。読み始めた頃のことを思い出すと、まあずいぶん遠い所まで来たなというか、ほとんどタイトル詐欺じゃねーか!(笑)って感じですね。これは普通の異世界転生小説ではないです。
あらすじ
IT社長の増田マサトは、自分が起業した会社で最近上手くいかずにイライラしていた。そんな中、起業当時からずっと一緒に働いてきた旧友である飯干がマサトに語り掛ける。
「今でも『やろう系』のラノベ作家になりたいのか」
やろう系とはこの小説内で『小説家をやろう』という自作の小説投稿サイトの事であり、要するに我々の知る『小説家になろう』の『なろう系』である。主人公マサトは本心ではやろう系作家になりたかったのだ。しかし日々の仕事に忙殺され、いつしかそんな夢は考えなくなっていた。この時せっかく休みを提案してくれた飯干と、半ば投げやりに別れ、マサトは秘書を呼んで車で帰宅することにした。しかしその車での帰宅途中、突然の事故に見舞われ、意識を取り戻すとそこはどこまでも草原の続く世界だった。
小説の内容について(ネタバレしない範囲で)
この小説ですが、結構大胆なストーリー構成になってまして、内容について説明するとそれ自体がネタバレになってしまうという説明が難しいものになっています。異世界でのストーリーに関しては、タイトル通り経営者的視点で現地の人間との交流を図ったり、また難題をビジネススキルで解決していったりと、ある意味王道ストーリーになっている印象です。しかし、それだけで終わるならまさにこれ自体がなろう小説なのですが、それで終わらないんですね。というのも、この小説、前半と後半で全く異なる内容になるので、正直まずは半分まで読んでみて欲しいんです。私も折り返し地点まで読み終えるまでは正直「まあこんなもんか」みたいな感覚だったのですが(それでも試練が始まったところは楽しめましたが)、ちょうど中間あたりでいわゆる「大どんでん返し」にぶち当たった時は思わず「これすごいな」とつぶやいてしまいました。
後半に関しては、人生について考えさせられるような内容も含んでまして、主人公をなぜこんな目に合わせたのかという黒幕に迫っていく展開にもなります。最後はしっかり伏線回収も済ませて全体として綺麗に出来ているストーリーだと思います。
まとめ
『IT社長が勇者に転生した件について』は高山環さんの代表作ではないですが、中々他にないタイプのストーリーになっている隠れた名作かもしれません。私がジャンルとして近いなと感じる他の小説では、貴志祐介さんの『クリムゾンの迷宮』があります。全くチート能力もないリアルな緊迫感のある異世界転生小説を読みたい方は是非読んでみてください。おすすめです。
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