【感想】『俺は全てを【パリイ】する』アニメ・漫画化もされた、謙虚すぎる主人公が贈るすれ違いコント(鍋敷)
某Youtubeのチャンネルなどで面白いと評価されている『俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~』のアニメ第一話が先日公開されまして、私も視聴しました。
面白かったので、気になって原作も探してみたら、ライトノベルの方がKindle Unlimitedで3巻まで対象商品になっていたので、早速1巻を読みました。
読んでみて感じたのは、これはつい感想を書きたくなってしまうような作品ですね。
まずは簡単な内容紹介から、ネタバレを含まないように書いていきたいと思います。
あらすじ
冒険者に憧れていた少年ノール。その世界で冒険者となるには、「スキル」という才能が必要でした。
しかしノールには何もスキルがなく、スキル獲得のための訓練コースに進んでも、戦士としても魔術士としても全く才能が開く見込みがありませんでした。
唯一強みと呼べるスキルが、敵の攻撃を弾くだけの「パリイ」でした。
ノールは山に篭り、数年間この「パリイ」を強化するための修行を行いました。
一度に千本の剣をはじける程に成長したノールは再び冒険者ギルドの門を叩きます。
どんな作品か?
『俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~』は、作者の鍋敷さんによって2019年から「小説家になろう」のほうで連載されている異世界ファンタジーです。
転生モノではない、純粋な異世界ファンタジーですね。
異世界モノの中でも、魔法より物理での戦闘の方が強い世界感になっています。
つまり、『葬送のフリーレン』のような超特大魔法で敵を倒すみたいなことは出来ないわけです。
屈強な男主人公が、強敵に挑んでいき、ギリギリの戦いを征していくというのは最近アニメ化された『シャングリラ・フロンティア』や、当ブログでも一押ししている『その無限の先へ』にも共通するテーマですし、一つの流行でもあるのかもしれません。
『シャングリラ・フロンティア』は現実パート有りのVRゲーム、『その無限の先へ』はゲーム攻略的な異世界転生モノといった感じでそれぞれ楽しみ方は違いますが、「主人公が強くなるためにも努力が必要だよね」っていう古き良き少年心を持った読者たちがまだ一定数いて、その土台からヒット作が生まれているような気がします。
そして、今回感想を書きたい『パリイ』に関して他にはない特徴的な要素がありまして、それが「勘違いコント」が含まれているということなんです。
どういう事かというと、主人公ノールがあらすじで書いたように、自分でも気づかないうちに大分強くなっていたわけですが、そのことに全く気が付いてなくて、強い魔物を倒しても、「俺でも倒せたってことはまだまだ初歩的な魔物、いや魔物ですらないかも」みたいに全く己の強さに驕らないのです。
その強さに衝撃を受けて勝手に弟子入りしてしまった女の子がいるのですが、その子もまたノールの謙遜の発言を勝手に深い教えかなんかだと勘違いしたりして、もはやアンジャッシュのすれ違いコントのような流れが出来上がってて笑えます。
この小説、登場人物の視点が切り替わる群像劇の描き方手法を取っているのですが、このノール視点(勘違い)→周りの人物視点(別の勘違い)→王様・王子視点(世界全体の流れ)というのが一つのお決まりパターンになっていてそこを楽しむ作品だと思います。少なくとも第一巻に関しては。
このような、すれ違い要素というのは、例えば有名な例で言うと、『名探偵コナン』で蘭が新一の薬で小さくなった姿を江戸川コナンという別の子供だと勘違いしているという設定ですが、「今の絶対気づくだろw」と言いたくなるような厳しい状況も多々あります。要するにこういうすれ違い設定というのは、物語でずっと描き続けるというのは大変難しい事なのです。そういった高難易度に挑戦している作者というのはつい応援したくなってしまうものです。
ヒロインは?
今作に関して、少なくとも第一巻を読んだ感じでは主人公に好意を抱く形でのヒロインは全く登場しません。
主人公ノールのことを、師匠として仰ぐ女の子キャラ、リーンが最もヒロインに近い存在になります。表紙の絵にも描かれているキャラですね。
主人公と行動を共にしていくのですが、現状デレるとかそういう展開は無いですね。
もう一人の女性キャラで、リーンの護衛役を務めるイネスも同様にヒロインではないようです。
しかしイラストを担当するカワグチさんの描くキャラ絵が綺麗なので、それだけでも十分楽しめると思います。
小説がラノベ化する作者にとって、どんな担当イラストレーターが付くかというのは、読者が思っている以上に重要な要素だと思います。
そういった意味では、『パリイ』の作者さんは恵まれていたと言えるでしょう。
おわりに
現在アニメ放送中の『俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~』、その原作ラノベ版がKindle Unlimitedで3巻まで読み放題となっています。
あとがきで作者が巻を進める毎に面白くなっていくと言っているので、今後も楽しみですね。
そう言い切れるのはすごいです。
第一巻では全部で30話収録されているのですが、アニメでの第一話が小説での第4話までの内容になりますので、単純計算で言って一冊でアニメ7,8話分読めるということですね。
アニメでもどのように勘違いパートを映像で表現していくのかも気になるので、視聴継続していこうと思っています。