【感想】『透明カメレオン』(道尾秀介)
こんにちは、久しぶりの更新となります。
今日紹介するのは、道尾秀介さんの『透明カメレオン』という小説です。
道尾秀介さんの小説は、これまで『球体の蛇』と『鬼の跫音』を読んでいたので、ちょっと鬱っぽい雰囲気の小説を書く方なのかなと思っていましたが、今回読んだ『透明カメレオン』に関しては鬱っぽさもありますが、もっと展開があってミステリー要素もある不思議な小説です。
あらすじ(Amazonより引用)
ラジオパーソナリティの恭太郎は、素敵な声と冴えない容姿の持ち主。バー「if」に集まる仲間たちの話を面白おかしくつくり変え、リスナーに届けていた。大雨の夜、びしょ濡れの美女がバーに迷い込み、彼らは「ある殺害計画」を手伝わされることに。意図不明の指示に振り回され、一緒の時間を過ごすうち、恭太郎は彼女に心惹かれていく。「僕はこの人が大好きなのだ」。秘められた想いが胸を打つ、感涙必至のエンタメ小説。
今作の特徴
この小説のストーリーの特徴は、主人公が美声の持ち主であり、その才能を活かしてラジオパーソナリティをやっているということです。このためラジオが好きな人は特に楽しめる内容になっています。
それから小説の形としては、事前に提示した情報を後からどんどん伏線回収していくような作りになっています。例えば章が変わる時の導入部分で毎回主人公がbarに通う人物の体験談をラジオで語っている描写が入るのですが、これも後々別の意味で解釈できるようになったりするので、2回読んでも楽しめる小説だと思います。
ラジオの面白さ
私は普段ラジオを聴かないのですが最近youtubeで、もののけさんの『深夜のラジオを聴き続けて放送委員になった奴』という動画にハマっておりまして、これは深夜ラジオに影響された中学生が、給食の時間に流れる校内放送でラジオを流しているという架空の設定の内容でめちゃくちゃ面白いです。
ラジオの面白さとは、やっぱりそこに人が居て自分に話しかけてくれてるっていう雑談の臨場感と、その時間を共有している人が全国各地にいるっていう一体感だと思います。これはテレビのバラエティとも日常生活での人との会話とも違うラジオならではの楽しみ方になるのではないでしょうか。
この小説の感想
この小説は、最初っからすごく面白いというタイプの小説ではありませんでした。最初は主人公がよく分からない展開に振り回されるばかりで、おそらく多くの読者にとっても序盤の方は今何をしている状況なのかよく分からない印象を受けたと思います。
しかし、読み進めていくうちに主人公を振り回していた三梶恵の目的が見えてきて面白くなってきましたし、最後の方の黒幕に近づいていく展開は臨場感があって時間を忘れて楽しめる内容になっていました。
この物語が伝えたいことというのは、人が苦しみを乗り越えて前に進むためには、前向きな嘘の物語が必要だということだと思います。読み終わってみるとこの小説は嘘ばっかで私も随分と騙されました。しかしそんな嘘も彼らが当然のように朝日が昇ることを信じるために必要な事だったと思えば納得です。
私が上で紹介したyoutubeの動画も架空の嘘の話ですが、実際嘘の方が現実より魅力的な事は多いです。この小説は透明カメレオンはそこにいるという「if」のストーリーでした。
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