【感想】『虚像のロシア革命』ウッドロウ・ウィルソンの過ちと英国の陰謀(渡辺惣樹)

正しいタイトルは『虚像のロシア革命 後付け理論で繕った唯物史観の正体』。

めちゃめちゃ面白かったです。

何が面白いって、不可解だった第一次世界大戦のドイツの行動にある程度説明が付けられる事ですね。

作者はこの本を読んでいるのは、自分と同じ学生闘争世代ばかりじゃないかと言っていますが、平成生まれの私でも全然楽しめます。

むしろ、これまで得てきた世界史の情報がどんどん頭の中で結合されて行って目から鱗でした。

具体的に言うと、ロシア革命っていうのが、マルクス主義史観で言われているような必然性や労働者達の革命的な意志の広がりによって実現したというよりは、ドイツやイギリス、アメリカなどの他国による政治的事情やそれによる実際の工作活動の連鎖の中で生まれた偶然の産物だったというのが本書の大まかな内容になります。

ですので、ロシア中心というよりはその周辺諸国の記述も多いですね。

特に第一次世界大戦におけるドイツのやむにやまれぬ事情というのは、納得できる内容で、少し同情したくなるくらいでした。

読み終わった後一番印象が変わったのはイギリスですね。

歴史マニアの間でも、「世界史を学べば学ぶほど嫌いになるのがイギリス」と言われているくらいですから、まあ裏でも表でも中々エグイ事をされてる国ではあります。

ウィンストン・チャーチルもイギリス本国で人気のある政治家ですが、この人物のせいで世界の平和がどれほど遠のいたか、本書を読めば明らかになります。

私もチャーチルについて、ノーベル文学賞を取ったり、ヒトラーと戦う様を描いた映画が放映されたりと、少々性格に癖はあるが中々優秀な歴史上の偉人として見ていたのですが、大分やばい方のようで……。自分の勉強不足を恥じました。

大まかに言って本書の前半はチャーチル、後半はレーニンが中心に描かれています。

ちなみに扱う時期は日露戦争~第一次世界大戦くらいになるので、ヒトラーも出てきませんし、スターリンもソビエト連邦で実権を握る前までしか描かれません。

レーニンは共産主義革命を望む指導者ですから、ロシアと戦争中のドイツからすればレーニンにロシアで実権を握ってもらう事で戦争を終わらせてもらいたいわけです。

だからこそドイツはレーニンに多額の金銭支援をして、ロシア革命に繋げたのです。

しかしドイツがそのような事をしなかればならなかったのは、英国のチャーチルがドイツ憎しのあまり米国が対独戦に参戦するように働きかけたり、また米国のウッドロウ・ウィルソンも大陸の事情を無視した自説を掲げ、ロシア側を金銭的にも支援して戦争を継続させた事にもよります。

このような経緯で、後に米国にとって最大の敵となるソ連が生まれました。

この本を読んで思ったのは、アメリカという国には問題が発生する前に対処するという発想が欠けているという事です。

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