【感想】『六人の赤ずきんは今夜食べられる』(氷桃甘雪)

たまたまKindleで面白そうな小説をさがしていたら、タイトル気になったので読んでみました。

この本は第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作品だそうです。

結構私好みのストーリーだったので、かなり楽しめました。軽く内容に触れていきます。

『六人の赤ずきんは今夜食べられる』は主人公の猟師が、恐ろしいオオカミに食べられる運命にある六人の赤ずきんを、あの手この手で救うために奮闘するパニックホラー小説です。

世界観としては、古い時代のヨーロッパか、異世界になると思います。元ネタの『赤ずきんちゃん』より王国の存在であったり、魔女の存在であったりと、より文明とダークな部分が肉付けされている印象です。

そういう感じで、元々ある赤ずきんちゃんという童話にボリュームアップを図ったような内容なので、特別にストーリーに独創性があるわけでもないのに楽しめたのは何なんだろうと、読み終わってから考えていました。そしてその理由がいくつかわかったのです。

まず主人公の猟師の人物像に深みがあるという点ですね。赤ずきん達を助けたいという動機がどのように生まれたかをバックストーリーからしっかり納得できる形で示されているのが、違和感なく展開に頭がついていくことにつながったと思います。

それから猟師の仕事として、獲物をどのように追い詰めていくかという説明もリアリティを増すことに貢献しています。あとは猟師の死生観に宗教染みた部分もあって、それがこの小説内の世界観とマッチしていて興味深かったです。

赤ずきん達のキャラ分けができていた点もストーリー中での会話を楽しくさせている要因になっています。これも完全にキャラ分けできているという感じではなく、すごく尖ったキャラがいる一方で、あまり特徴が出てないキャラもいるという感じでしたが、十分でしょう。

シンプルにミステリーとして面白かったのもあります。ここは王道を行っててよかったですね。物語の最初から貼られていた伏線が綺麗に回収されていく展開は爽快でしたし、終わり方も綺麗で読後感がスッキリしたものになりました。

不満点を挙げるとすれば、挿絵のオオカミが思ってた以上に小さかったので、「あれ、こんなんだったのか」と思ってしまいました。これは実際もう少し大きいのを作者さんは想定して書いていたと思うのですが、どうなんでしょうか。

ともかく、日常を忘れて別世界でのダークファンタジーなホラー体験をしたい方におすすめの小説です。

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【感想】『六人の赤ずきんは今夜食べられる』(氷桃甘雪)” に対して1件のコメントがあります。

  1. Dusty_F より:

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