【感想】『悪魔の孤独と水銀糖の少女』/ネクロマンサーと呪われた島(紅玉 いづき)

あらすじ

「あなたを愛するために、ここまで来たんだもの」
 黒い海を越え、呪われた島にやってきた美しい少女、シュガーリア。今は滅びた死霊術師の忘れ形見である彼女が出会ったのは、大罪人の男、ヨクサルだった。彼は無数の罪をその身に刻み、背負う悪魔は、『孤独を力にかえる』という──。
「あんた、何様のつもりだ」
「わたしはシュガーリア。この世界で最後の……死霊術師の孫娘よ」
 愛など知らない男と、愛しか知らない少女が出会った時、末路を迎えたはずの物語が動きはじめる。
 水銀糖の少女の、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。

どんな本?

『悪魔の孤独と水銀糖の少女』は、異世界を舞台にしたライトノベルです。テーマは「愛と死」。ネクロマンサーというRPGでもおなじみの役職を主人公として扱っている変わった小説でもあります。逆にRPGでおなじみの剣と魔法の要素に関しては、王国側として完全に敵勢力の要素となっています。普通の異世界ものと違って、かなり暗く落ち着いた世界観となっており、恒川光太郎さんの小説の世界観のような、現実世界の裏側のような雰囲気です。

読んでみた感想

読む前の印象としては、レビューやタイトルから自分が今まで読んだことのない小説だろうと思い、実際読んでみてその通りだったのでそこは非常に満足しています。正直最初から盛り上がる小説ではなく、レビューを見た感じでも途中で読むのをやめてしまった人もいるようです。私はそもそもこれが娯楽小説ではなく、村上春樹作品のように言葉をゆっくり楽しむ作品かなと思っていたので、読む勧める分には支障はありませんでした。実際読んでみると、最後に衝撃的な展開もあったりして、結構たのしめました。例えば貴志祐介作品のようにホラー小説なのに終盤でボスバトル挟んでくるのと同じような、わかる人にわかればいいという態度ではない読者を楽しませに向かっている意思を感じて好感を持ちました。

このライトノベルの何が面白かったかをもう少し考えてみると、最初から何もかもわからないからこそ読み進めていくうちに、その島の外側の世界とかが見えてきて、頭の中に世界が出来上がっていくのが面白かったかもしれません。逆に言うと、最初から主人公が何をしたいのか、わかりやすく説明してくれない不親切な小説として低評価をしている人もいるのかなという印象です。普段はRPGの影の存在であるネクロマンサーの実態のようなものを自分の中で補完できた部分も嬉しかったです。

まとめ

『悪魔の孤独と水銀糖の少女』はライトノベルでありながら、内容は大人向けで、当ブログで最近取り上げた『死者殺しのメメント・モリア』と同ジャンルとして紹介したいような目の肥えた人に勧めたい小説です。最初にシュガーリアのヒロイン像に違和感を持ってしまうとハマれないかもしれません。私としては読んでいて論理的な破綻は感じませんでしたし、一人の人物の内面を深く掘り下げていくような作品なので、他人の心に敏感な人は楽しめるライトノベルじゃないかと思います。

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