【書評】『自由と成長の経済学』(柿埜 慎吾)/ソ連の失敗を忘れてはいけない

どんな内容の本?

この本は2021年8月に出版されました。新型コロナウイルスの対策において、多くの資本主義国で感染を拡大させたのに対し、中国などの権威主義的な国が感染を抑えること出来たことで、日本でも反資本主義的な意見が現れ始めました。それに対し本書の著者である柿埜さんは、理路整然と反駁します。そもそも資本主義は双方が取引に利益があると納得して行われるもので、片方が片方を搾取するとかではないそうです。それから本書は今の2020年代に、ソ連共産主義の恐ろしさについて改めて理解を促す警鐘の本でもあります。左翼的思想を持つ方には非常に耳の痛い内容となっています。

そもそもなぜコロナウイルスが蔓延したのか

中国の成功(2023年現在中国でもコロナは蔓延してしまったが)を語る前に、そもそもコロナウイルスが世界に蔓延する原因となったのが中国であることを思い出しましょう。もしこれが自由民主主義国で発生したのであれば、世界に広まる前に対応できたはずです。なぜかというと中国では、中国の医師が発生時点でウイルスが危険であることを警鐘していたのに中国政府が弾圧したのです。しかも国際機関による原因究明を拒んでいるのも不自然でした。

資本主義はむしろ人類を豊かにした

本書の前半ではなぜ人類が経済成長できたかではなく、なぜ人類は資本主義というこんな簡単なシステムを200年前まで実現できなかったのか? という論点で書かれている所が面白いです。そこには資本主義をよく思わない集団がいたようです。資本主義が導入されてから世界の貧困率が劇的に下がったことを図を使って説明してくれています。資本主義による経済活動が環境を破壊したと言われますが、環境にやさしいエネルギーを生み出す技術を開発するには経済的に豊かな国でないと無理です。逆に反資本主義的な国であったソ連ではチェルノブイリ原発事故という環境汚染が起こりました。

読み終わった感想

難しい専門用語を使わずに、平易な日本語でためになる情報を書いてくださっているので、読み物としてすごく面白いです。2時間程で読了できる簡潔さも良。資本主義以前の世界の貧しさを知ることで、いかに自分が経済的に発展してきた国の恩恵を受けているかを思い知りました。文字を読めることにすら感謝できそうです。本書では『人新世の「資本論」』を書いた斎藤幸平さんへの反駁が強いです。この人は脱成長コミュニズムという反資本主義的な本を発表していたそうなのですが、私はこの本を読むまでこの人を知らなかったですし、一般的に浸透してない意見だと思ったのでピンときませんでした。柿埜さんがこの本を発表することで、浸透を防いだ可能性はあります。

どんな人におすすめ?

資本主義に対して否定的なイメージを持っているなら是非読んだ方がいいです。私も安易に資本主義=競争主義と考えていた自分を反省しました。自分たちの経済活動が最終的に世界全体のためになると思えるようになるので、仕事のモチベーションにつながるかもしれません。それから最近活動が目立ってきた「環境活動家」などの人たちに対してなんとなく共感できない方。この本を読めばその理由に納得するはずです。それからソ連の歴史に興味のある方は、この本ではソ連が反面教師としてめちゃくちゃ出てくるので、おススメです。これほどソ連経済を批判した本も見たことがありません。

本書のAmazonリンクはこちら

(おまけ)↓柿埜さんがテンション高めで語るトラバントの画像

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です