【感想】『マツリカ・マジョルカ』(相沢 沙呼)/学校の怪談に秘められた意味とは?

公式のあらすじ

柴山祐希、高校1年。クラスに居場所を見付けられず、冴えない学校生活を送っていた。そんな彼の毎日が、学校近くの廃墟に住む女子高生マツリカとの出会いで一変する。「柴犬」と呼ばれパシリ扱いされつつも、学園の謎を解明するため、他人と関わることになる祐希。逃げないでいるのは難しいが、本当はそんな必要なんてないのかもしれない……彼の中で何かが変わり始めたとき、自らの秘密も明らかになる出来事が起こり!?

どんな小説?

『マツリカ・マジョルカ』は高校を舞台とした推理小説です。一人の冴えない男の子と、学校の隣の廃墟に潜む謎の女の人が中心となり、学校の怪談などを調査し、解決はしないけど真相を突き止めて納得するみたいな話です。アニメ作品の『氷菓』とかに近いかもしれません。著者の相沢沙呼さんは『午後零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也章を受賞。『マツリカ・マジョルカ』に収録されている「原始人ランナウェイ」は日本推理作家協会賞の候補にも挙がっていました。

私が読んでみた感想

この本は4つのお話で構成されており、私は最初の「原始人ランナウェイ」と最後の「さよならメランコリア」が特に面白いと感じました。始まりと終わりが良いということで、私の中でのこの小説の評価はかなり高くなっています。4つの話に順位をつけるとしたら1,4,2,3の順に面白かったです。

まず学校の怪談というものが、使い古されていながら推理小説の王道のテーマなので絶対面白いです。それも最初の「原始人ランナウェイ」での旧校舎裏に現れる原始人なんかは、今まで聞いたことないような設定で、言葉から想像すること自体が楽しめましたし真相も衝撃的でした。小説全体として、まず主人公の柴山がミステリー染みた話をマツリカさんに持っていき、柴山が集めた情報をもとにマツリカさんが真相を突き止めるというスタイルなのですが、この真相を突き止める過程がスピーディなのが爽快です。

柴山の学校生活の描写があって、そこで柴山が他人との関係に悩んだり、イベントに巻き込まれたり、マツリカさんにパシられたりしながら、ちょっと不可解な問題が出てくる。それをマツリカさんに相談する段階になって、マツリカさんが間延びさせずに一瞬で解答して真相を告げるというこの構成がなかなかハマりました。各話毎に毎回のお決まりパターンみたいなのがあって、「今回はこうくるか」みたいな楽しみ方も出来ました。

主人公の柴山くんのダメな部分や悩みなどは思春期特有のものであり、自分の学生時代を思いかえして共感できる部分も結構あってそこも感情移入できる要因となっています。そんな柴山に明るく接してくれる小西さんは私の一番のお気に入りキャラです。マツリカさんもユーモアあって好きですが、実際小西さんが登場人物の中で一番人間性が優れていると思います。あと作者のマツリカさんへの大腿フェチがすごいです。マツリカさんには「柴犬」と呼ばれてしまう柴山がマツリカさんの魅惑に翻弄されてしまう描写はなかなか笑えますが。

まとめ

『マツリカ・マジョルカ』は主に高校を舞台にした、冴えない男子学生と廃墟に居座る謎の大人びた女子が出合い、そこまで重要でもない問題を解き明かし、意外な事実に導かれていくという推理小説です。学校の怪談の調査など、お話の舞台は暗い雰囲気の場所が多い反面、小説の語り口はユーモアあって笑えたりするので、印象としては明るい作品です。続編も出ていますが、現在Kindle Unlimitedで読めるのはこの巻だけ、ですが十分面白いので是非おすすめしたいです。

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