『夜市』(恒川光太郎)

恒川光太郎さんのご著書で言うと、私がKindle Unlimitedに登録してわりとすぐに読んだのが『スタープレイヤー』だったんですよね。この本は他のサイトでも紹介されてたのですが、面白かった。しかしどうやらUnlimitedの期間が終了してるみたいですね。恒川さんの本ってなぜかUnlimitedになったり、解除されたりしてて、スタープレイヤーの続編である『ヘブンメイカー』も気づいたらUnlimitedで読めなくなってました。先にDLしとけばよかった。

いや買えよ、って話なんですけどね。一応このブログのコンセプトとして、Kindle Unlimitedで読める範囲だけで読了した本を紹介していくという縛りを設けているので、ブログの専門性に特化させるためには仕方がないのです。決してお金がないとかそういうんじゃないから。

まあそんなわけでこの本も読み放題の内に読んでしまいましょう。

「夜市」(よいち)は2005年に日本ホラー小説大賞を受賞した、直木賞候補にもなったホラー小説です。いや正直私はホラー小説ではない気がするのですが、不気味な雰囲気はありますし、幽霊の存在も思わせるので、その辺の正式なジャンル分けはプロに任せましょう。この本にはもうひとつの小説、「風の古道」も収録されています。こちらもホラーっぽい雰囲気はありますね。

「夜市」は主人公視点の女子大生が、高校の時の友達である裕司に連れられて、夜市に行く話です。あらすじの立て方が難しいですね。amazonにある説明はネタバレ含んでるんで読まない方がいいです(笑)。「風の古道」は小学生の少年が、不気味な通りに入り込んでしまうという千と千尋の神隠し的な話ですが、もっと現実世界との関わりによって深みを出しています。

最初に言ったように、私はまだ恒川作品は2冊しか読んでないのですが、この方の作品の特徴は既に感じることができます。まず始めに、この世界、或いはその世界は、人と人との物語が交錯する世界であるという事です。どういうことかといいますと、普通は小説にはメインストーリーがあって、そこで行われる人間同士のやり取りや、展開の変化に描写の重きを置くわけです。そしてメインストーリーの補助として回想が導入されたりするわけですが、この人の作品においてはメインを特定させていないように思うんです。つまり、ときどき回想シーンこそがメインストーリーであると錯覚してしまいかねないような書き方をしているという事です。

もちろん私はまだ2冊した読んでませんので、また別の作品を読んだら訂正しなきゃいけない部分もあるかもしれませんが、おそらくはそういう事だと思ったのです。ひとつの長編にいくつかの短編を混ぜるかのようなつくりをしているのですが、これがライトな文体のためか疲れない。私からすれば、日本庭園を思わせるかような清涼感すら感じるのです。古風であり、若者的でもあるような、そんな印象を持ちました。面白かったです。

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